STORY
「今日からここに住むから。あいつと。」
10年ぶりに弟が帰ってきた。小さな子供を連れて。
実家の家業を1人で継いでいる兄。自由に暮らした弟。2人には両親が居ない。
兄には両親の記憶がある。「覚えてるだろ?」
ちゃんとしなきゃダメなんだ。一生懸命やらなきゃダメなんだ。
弟には父親の記憶だけ。「さぁ記憶にないな。」
好きな事をできない大人になる事から逃げてきた。
時に、傷付き、時に受け入れられずに生きてきた。
突然訪れた子供との出会いは兄弟の摩擦を少しずつほぐしていく。
自分の『宝物』を知らない大人が不器用ながらに愛を伝えていく。
僕らは一体何が出来るのだろうか。
金木犀の咲く時期に『素直』になる事への一歩を踏み出す。そんな小さな家族の物語。