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『特集!!宝物のできかた』~榎本桜の素顔~vol.3 【カーラママ編】

18/09/11

泉水美和子 【カーラママ】

お友達だった桜監督が、わたしのSNS上に載せていたカーラを見て出演オファーをくださいました。

カーラは、かつてアイメイト(盲導犬)協会の繁殖母犬として活躍し、多くのアイメイト(盲導犬)を日本中に送り出したイエローのラブラドールです。桜監督が、そこにいてくれるだけでいいの言うので、出演決定!!

マネージャーのカーラママとドライバーのカーラパパを引き連れて、ロケ地の千葉県佐倉市へとクランクインしました。えー、現場に入ると彼の所属している劇団チキンハートの方々がそこここにスタッフとしているではありませんか。大ファンのカーラママはテンションアップ。でも、女優カーラは、落ち着いて当然のように縁側に上がり込み、待機していました。

「カーラさん、お願いしまーす」と助監督さんに呼ばれ、犬小屋になる納屋へ。用意された犬ベッドに寝ているところを撮影と聞いていたのですが、桜監督は「じゃ、カーラ、呼ばれたらそこの扉開けて、出てきて」と普通に演出を付けてくるのです。カーラママは、一応言ってみますけどと、カーラに説明して、「よ~い! スタート!!」なんとカーラは、桜監督の演出通りに、鼻先で扉を開けて出てくるじゃありませんか。チキンハートの方々が・・あ、スタッフの方々が「さすがタレント犬!!」と褒めてくださいましたが、違うから、ただのリタイア犬だから。

細見のイケメンが好みのカーラですから、桜監督が気に入ったようで、それは良く言う事を聞いて、その後も付けられる演出を難なくこなしていました。そして、ラストショット。縁側に座っているカーラが、ふと左側を向くという簡単なシーンでした。スタッフさんが「カーラ!」と呼んでくれますが、いっこうに振り向かないのです。

実は、撮影の少し前にカーラは、生れてからずっと一緒だった母犬が亡くなり、突発性難聴になっていました。獣医さん曰く、「声に出して悲しめない犬は、悲しみが身体に出てしまう」とのことで、遠くからの呼びかけが聞こえないのです。どうにも振り向かないカーラに、監督があきらめかけていたところ、撮影中ずっと一緒にいた子役ちゃんが「カ~ラ~!!」と呼ぶとくるっと振り向くではありませんか、もう何度でも。子役ちゃんに手伝ってもらい無事オールアップできました。

聞き取れる音の波長があり、子供の声のものであったということなのでしょうが、不思議とこの撮影後、徐々にカーラの耳は回復していきました。佐倉でカーラがもらった小さな奇跡です。

 カーラも今回の『宝物の抱きかた』のロードショーを心待ちにしていました。桜監督が「舞台挨拶にも呼ぶからね」と言ってくれたので、ドレスも用意していたのです。でも、カーラは昨年の12月3日、虹の橋に旅立ちました。享年15歳。亡くなる前日までお散歩もしていました。女優らしく。

今は、虹の橋から『宝物の抱きかた』を応援しています。映画を観れば、元気なカーラがそこに生きています。参加させてくださりありがとうございました。   

 

 

《おまけのカーラママのつぶやき》

桜くんとは、もう10年近いお付き合いです。初めての共演は母と息子でした(息子に殺されました)

映画を撮る前の桜くんは尖がっていました。いい意味でもね。

でも、この作品を撮ってからの、そう、最近の桜くんはどこか角が取れた感じがします。丸くなるのはまだまだ先でしょうが、ぽきっと折れそうな枝ではなく、柳のようなしなやかな枝・・・みたいな感じ。この先、どんな俳優になるのか、監督としてどんな映画を生み出してくれるのか目が離せません。